ATELIER CONBRIO アトリエ コンブリオ

大規模修繕工事・成功への近道

吉田 憲治

マンション外観

大規模修繕工事を終えて
輝くようによみがえったマンション

(1) 大規模修繕の時期・工事費用について

大規模修繕の時期は、一般に竣工後12年から15年位で、マンションの建物の状況や積立金の金額により決定されます。費用も建物の規模、劣化状況、形状、工事内容によってかなり異なります。

一戸あたり65万円から85万円が目安と言われますが、これはあくまで平均値です。資産価値を維持して不必要な支出を避け、適切な時期での修繕工事が重要となります。

(2) 大規模修繕工事の成功ポイント

a. 危険な箇所や建物の劣化を極力なくす

タイルの落下の危険性や手摺のがたつき、防犯上の死角など、きめ細かな点検が必要です。修繕委員会等を設置し、劣化箇所の「早期発見・早期治療」が全ての予防対策となります。

b. 建物躯体に水や酸素を近づけない

鉄筋コンクリートの敵は酸素、二酸化炭素、紫外線、雨水です。外装の塗装やタイルは、これらから構造体を保護する重要な役割を持っています。

c. 建物の性能と機能の充実アップ

  • 錆びにくいアルミ製への取り替え(窓格子、手摺など)
  • バリアフリー化、照明のLED化、インターホンのTVカメラ化
  • 給排気設備の改善や老朽化した配管の更新

d. 生活しながらの工事を円滑に進める

音、匂い、ほこりを最小限にする計画が必要です。住民説明会を通じて協力を得ること、そして何より「生活しながらの工事」に手慣れた工事業者を選択することが大きなポイントです。

(3) 企画:どのように進めたら良いか

素人の住民だけでは専門知識が不足します。一級建築士のいるコンサルタント会社に依頼し、設計仕様書の作成から工事業者の選定、見積書の検討までアドバイスを受けることが成功への鍵です。

(工事の実施時期は、窓を開けられない夏や、塗料の付着が悪い冬を避け、春先か秋からがベストです。)

(4) 設計(見積依頼書・仕様書・図面の作成)

大規模な建物が対象となります。工事の材料や方法を検討し、それらをまとめて図面や仕様書を作成する業務です。大規模修繕のコンサルタント経験(過去20棟以上)を持つ一級建築士事務所が最もふさわしいといえるでしょう。

建築士が設計を行う手順

  • 情報を収集整理し、仕様書・見積り数量に反映
  • 現場調査に基づく工事材料・方法の検討
  • 工事の概算予算の算出
  • 工事業者の複数選定と的確なアドバイス

(5) 業者決定の手順と注意事項

同じ設計図書で見積参加業者に現場説明会を開き、公平な条件で見積作業に入ってもらいます。

  • 見積業者の選定:過去の実績や経営状況をランク分けして検討
  • 見積の発注:公正な競争を期待するため、業者名が分からないように発注
  • 質疑応答:全ての業者に統一回答書を作成し、公平性を保つ
  • 業者決定:内訳書の中身、ヒアリング(ネゴシエーション)を重ねて決定

(6) 工事説明会の重要性

工事期間中の不便やお願い事を住民の方々に納得してもらう重要な場です。欠席者にも配慮し、読めば理解できる冊子を配布します。特に足場がある期間の防犯(窓の施錠)については徹底的な周知が必要です。

(7) コンサルタントによる工事監理

工事監理は、契約通りに工事が実施されているかをチェックし、問題点は理事会や修繕委員会で即座に検討します。足場がないと確認できない箇所もあるため、撤去前の竣工確認を誰が行うか事前決めることが肝要です。

(8) 竣工について

全部の確認ができれば、竣工図書の引渡しとなります。完成引渡し書、保証書、使用材料リスト、劣化状況図など、将来の修繕の記録として大切に保管します。

(9) アフター点検

理事会メンバーが交代しても迷わないよう、2年後の点検時期や方法をあらかじめ決めておきます。施工業者との契約にアンケート実施を含めるのも有効です。

(10) 2回目以降の大規模修繕工事について

2回目以降は、1回目とは違う視点が必要になります。住民の高齢化に伴うバリアフリー化、玄関扉の交換、給排水管の更新、オール電化への対応など、時代に合わせたアップデートが求められます。

(11) 長期修繕計画と今後の計画

修繕が完了した直後こそ、長期修繕計画を見直す絶好の機会です。支出だけでなく「収入計画」もしっかり示し、住民の理解を得て改定していくことが、建物の延命に繋がります。

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