1977年頃11月 ??新聞

白羽神社秋祭りで
夜を徹して奉納された
県無形文化財の山代神楽
夜を徹し山代神楽奉納
〜美和町の白羽神社秋祭り〜

 玖珂郡美和町北中山二ッ野、白羽(しらは)神社の秋祭りが11月3日行われ、前夜祭として2日夜から3日未明まで地元の県無形文化財山代白羽神楽保存会(耕谷信男会長、13人)が同神楽をにぎやかに奉納した。上演には文化庁無形文化民俗文化課の榎本由喜雄主任文化財調査官も調査に訪れ、荒々しい舞いをカメラに納めた。
 白羽神社の秋祭りは『食い祭り』ともいわれ、地区の人たちは親類縁者などを呼び、盛んに飲み食いをする。このため開演時間も遅くなり、午後11時から清めの舞いの「御神楽」で始まり、「恵比須舞」「芝鬼神」「大江山」などきらびやかな衣装をまとって舞い続けられ、同保存会の十八番「八岐乃遠呂智」が舞い終わったのは3日午前3時ごろ。白羽神社境内は気温が零度近くまで下がり、見物人はたき火と酒で暖をとりながら最後まで拍手を送った。なかには見物席から飛び入りの舞いもあり、伝統の神楽を受け継ぐ地区の層の厚さをうかがわせた。
 二ッ野地区の山代神楽はいつごろから伝承されているか明らかではないが、古い記録に江戸時代中期にはすでに舞われていたことが残されている。出雲の流れをくむ安芸系の神楽といわれ、白羽保存会はS43年4月、県の無形文化財に指定された。