2007年3月13日(火曜日) 読売新聞
勇壮な舞に酔う
 山代神楽
岩国市北部の本郷、錦、美和の3町を含む「山代地域」で伝承される「山代神楽」。
岩国市の合併1周年を記念して七つの神楽団体が、同市民会館で共演大会を開き、江戸時代から続く郷土芸能を披露した。3町以外での開催は初めてとあって、集まった1000人以上のファンも豪華な衣装と勇壮な舞に酔いしれた。

「黄泉醜女」の一幕 トリを飾った八岐乃遠呂智。
2匹の大蛇はそれぞれ5bほどの大きさで、
人気が高く、演目の取り合いになる。

岩国市合併1周年記念 7団体共演
 山代神楽は疫病の流行を治めようと、江戸中期から始まったと伝わる。共演大会は例年秋に開いているが、今回は新岩国市の誕生から1年を記念して、山代神楽連絡協議会が催した。
 会場には7団体に加え、子どもが演じる「子ども神楽」の4団体も集合。本郷子ども神楽がまず、神楽殿と舞人を清める「みそぎ祓い」を演じ、続けて「日本書紀」や「古事記」などの伝説にちなんだ出し物を次々と上演した。
 3町とも目下、過疎や少子化が悩みの種。「出ずっぱりで体力的にきつい。もっと若い人にやってもらったほうがいいのだけど...」。上沼田神楽保存会の「黄泉醜女(よもつしこめ)」で、主役の伊耶那岐命(いざなぎのみこと)を演じた坂本光行さん(51)が苦笑いする。
 同協議会長の谷口和正さん(59)も部員の確保を課題に挙げながら、「共演大会で山代神楽の良さと存在感を多くの人に知ってもらえたのでは。今後も守り続けたい」と意欲をみなぎらせていた。